僕と息子と釣り針と6 またまた寄り道2 [キス・アジ・サヨリ・海釣り]
なかなか本題に入れないのは、多分どこかに問題が・・・
山口って所は、地元の人が思っている以上に
釣り人には最高の場所なんですね!!
渓流釣り、波止からのフカセ釣り、船からの鯛釣り、磯釣り・・・
やろうと思えば、何でも出来ます。
日曜の朝は、テレビを付けると「大ちゃんの釣りに行こう」
って番組を必ず見てました。
知ってますか?
山口・広島以外の人は知りませんよね~!!
これ見たら、釣りを知らない人も行きたくなるんですよ。
釣りに。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アジ・キス・サヨリ・・・
海の釣りはとにかく飽きない。
季節によっても釣れる魚は違うし、同じ時間に同じ場所に行っても
釣れるかどうかは分からない。
だからこそ、釣りは面白い!!
ある意味、ナンパと似ているかも(笑)
てか、私はナンパの経験が無いのだが(-_-;)
またまた、話は脱線・・・
B型だから、そこは許してください!!
アジ釣りは、だいたいサビキで釣るのが普通?
確かに、我々親子もサビキでしかアジを釣っていなかった。
ところが・・・
ある朝、いつもの釣り場に行くと常連のジイチャンが、
サビキじゃなくフカセ釣りで大物のアジを釣っていたのだ!!
多分、20センチどころじゃない大物。
それから、我ら親子の釣りは変わった。
常識通りにやってたら、当たり前のサイズの魚しか釣れない。
基本は基本だけど、何かを変えないと・・・
で、早速じいちゃんを真似してみた。
同じ時間に同じポイントで、同じ仕掛けで・・・
釣れた~!!
30センチオーバーのアジが!!
え~と、正確には27センチだったような(-_-;)
殆どの釣り人は、1センチでも大きく言いたいんですよね(笑)
それからの、僕らの釣りは今までとは全く変わった。
それは、とても不幸な事だった・・・
野球選手が、何かを見つけてスイングを変えたら・・・
何と、ホームランが連発した。
なんて事はよくある。
で、少しするとまた打てなくなる。
これもよくある話だ。
同じだった(-_-;)
釣れなくなった!!
毎週日曜、息子との約束を果たすべく、
来る日も来る日も釣りに行った。
男と男の約束は、絶対に守らないと!!
でも、ある日を境に全く釣れなくなった。
で、思いだいしたのだ。
俺たちは、アジを釣りに山口に来たんじゃないって。
男と男の約束は、アジじゃなくてヤマメだったはずだ。
やっと本題に近づきましたよ!!
本当にお待たせしました。
でもですねぇ。
渓流釣りは、冗談抜きで命がけなんですよ。
やった人にしか分からない・・・
インディージョーンズ の気持ちが分かりますから。
それでは、またお会いしましょう。
さいなら、さいなら、さいなら~!!
僕と息子と釣り針と5 寄り道 [キス・アジ・サヨリ・海釣り]
時間の感覚というのは、人によって随分違う。
40代に入った私は、昔と違って少しは余裕が出来た。
確かに若い頃は、何かを待つのが苦手だった。
ギターが欲しいと思ったら、弾けるかどうかは別にして
とにかく手に入れないと収まらないのだ。
東京に行きたいと思ったら、どんな手段を使っても
とにかく東京に行く事が全てなのだ。
私の血液型はB型で、息子もB型。
親子だから、当たり前と言えば当たり前なのだが・・・
だいたいに於いて、B型は敬遠される。
私と息子の会話。
私 「今、アジの群れが来てるから、明日はアジ狙いにするか?」
息子 「だよね~、今は絶対にアジだよ!」
次の朝。
私 「キスの天ぷら食いたくねえか?」
息子 「良いね~、やっぱりキスの天ぷら最高だよね!」
ってな具合で、多分B型以外の人には理解できないだろう(笑)
山口に来た目的だった渓流釣りは置いといて、しばしの間
海釣りにはまってしまったのだ(-_-;)
これはこれで、とにかく面白かった!!
今から14年ほど前の山口では、
面白い様に魚が釣れた。
アジでもキスでもサヨリでも・・・
とにかく、いつもの釣り場に行くと顔なじみの釣り人が
定位置を確保していた。
実は、これが一番大事な事だった。
釣れるポイントの確保。
朝寝坊は大敵だ。
ちょっと遅れただけだ、最高の釣り場は最低の釣り場になってしまう。
私は仕事柄、早起きは得意だった。
息子は、朝が苦手だった。
私は、目覚ましが必要ないくらい勝手に目が覚める。
釣りの日だけだが(笑)
息子はというと、ジリジリ鳴っている目覚まし時計を
最初は手で持ち、二度目は布団の中に隠し、
次には息の根を止めてしまう。
会社に行きたくなくて、いつまでも布団から出れない旦那を起こす
奥さん方の気持ちが、本当に痛いほど分かる。
ん?
ちょっと違うか?
息子は、釣りには行きたいのだが
しかし、眠気だけには勝てないらしい(笑)
朝、5時
家族が寝静まっている中の準備は大変だ。
明かりは点けられない。
音もダメだ。
彼女達を起こしてしまったら、後が大変なのだ(-_-;)
真っ暗な部屋の中で、ベランダに用意してあった釣り道具を
玄関まで移動させる。
それから、息子との格闘が始まる。
起きない・・・
あんなに綿密な計画を立てたのに。
起きない・・・
昨夜の会話。
私 「明日のポイントは、波止の真ん中が良いよな」
息子 「え~、一番奥がベストだよ」
私 「じゃあ、早く起きないと誰かにとられるぞ」
息子 「分かった、5時に起きよう!!」
何でやねん!!どの口が言うとるんじゃ、こら-!!
ってことで、いつものベストポジションは誰かに譲ってやった。
まだまだ続く寄り道でした。
僕と息子と釣り針と4 準備編 [山口編]
渓流釣りの解禁日は漁協によっても違うが、
山口県では概ね3月1日~8月31日となっている。
釣り場に入る前には、必ず遊漁券を購入しなければ釣りは出来ない。
と、渓流釣りの入門書に書いてあった。
息子には内緒で、とにかく本を読みあさった。
仕掛けは?
餌は?
ポイントは?
必要な道具は?
道具や餌は近くの「かめや釣具店」で調達できる。
勿論、遊漁券もだ。
問題は、どこで釣れば良いかっていう
肝心要な事を知らなかったのだ。
本で調べると、確かに渓流釣りの出来る川やポイントは書いてある。
がしかし、これから渓流に挑戦しようとしている、全く素人の
オッサンと小学4年の子供はどの川で始めればいいのか?
山口での知り合いは会社の同僚くらいだったが、悲しい事に
釣りを趣味にしている奴は一人もいなかった。
もし居たとしても、殆どが海釣りだった。
なぜ?
答えは簡単だった。
目の前が海だからだ。
すぐ目の前に海があって、そこにはアジやキスやサヨリの釣り場が
あちこちにあるし、アジやキスやサヨリを釣るのはとっても簡単だった。
勿論、その簡単なお手頃な釣りも試してみた。
それはそれなりに面白かったが、アジやキスやサヨリを釣りながら
私と息子は全く違う事を考えていた。
「ヤマメ」に逢わなければ!!
息子にしてみたら、埼玉の友達との楽しい時間を犠牲にして
「山口」ではなく「ヤマメ」との出逢いを選んだのだ。
多分、息子の頭の中には山口だろうが青森だろうが
場所の問題ではなかったのだ。
埼玉のペットショップで出逢った「ヤマメ」
怪しく光るパーマーク。
あれは、息子の初恋だったのかも知れない。
話は変わるが、私の息子は女の子に人気があった。
いつも、3~4人の女の子と遊んでいた。
いわゆる、もて男だった。
なのに、特定の女の子とは付き合わず皆と仲良くしていた。
親の私が羨ましく思えるくらい、彼は最高の幼少期を送っていた。
と思っていた。
ところがだ・・・
あのペットショップでの出逢いから、彼は一日も彼女を忘れなかった。
確かに綺麗な魚だった。
同類の「イワナ」はちょっと地味だし。
ニジマスという手もあったが、もう手遅れだった。
pinterestより
そろそろ実践に移るかと思いカレンダーを見ると
9月の半ばだという事に気が付いた。
まさか・・・
禁漁期間に入った?
ってことは、あと半年は渓流釣りが出来ない?
逆に考えれば、半年勉強すれば基本的な知識は身に着けられる。
と思ったのは私だけだった。
小学4年の息子にとっての半年間とは、おそらくとてつもない長い時間だったろう。
10月、11月、12月・・・
「かめや釣具店」で買った情報誌は、原形を留めないくらいクチャクチャになっていた。
その頃の私たち親子は、知識だけは誰にも負けないくらい勉強していた。
そして、その日はやって来たのだ!!
いよいよ始まりますよ~
危険ですよ~
怖いですよ~
それでは、またお会いしましょう。
さいなら、さいなら、さいなら~!!
僕と息子と釣り針と3 転勤編 [序章]
サラリーマンの宿命・・・それは転勤だ。
転勤経験のない人もいるだろう。
少なくとも私は7回の転勤を経験してきた。
そしてその殆どは、事前の相談もなくいきなり伝えられた。
本人は良いとして、大変なのは家族だ。
学校は?
幼稚園は?
近所付き合いは?
子供が大きくなれば、それこそ家族の一大事となる。
「ゴルゴ13」に似た上司は、圧倒的な力を持っていた。
社内ではNO.2の位置に君臨し、そして誰よりも怖い顔の持ち主だった。
もしも「怖い顔選手権」があったとしたら、間違いなく優勝していただろう。
今まで、彼に逆らった社員はいなかった。
勿論、私も逆らう気などさらさらなかった。
って訳で、山口行はすんなりと?決まってしまったのだ。
息子との約束を残したまま・・・
転勤が決まると、だいたいお決まりの行事が待っている。
会社の送別会。
近所のお別れ会。
そして転勤先での歓迎会。
毎日毎日、死ぬほど酒を飲んだ。
そして、すっかり忘れていた。
息子との約束・・・
引っ越して間もない日曜日。
まだ、段ボール箱が散乱している部屋の中で、
小学校4年の息子は、ゴソゴソと探し物に夢中になっていた。
息子 「パパ、あったよ!!」
私 「ん?何が?」
息子が探していたのは、埼玉の釣具屋で買った
一本1000円の釣り竿だった。
日本一汚いどぶ川で使うには、これで十分だった。
息子 「ヤマメはいつ釣りに行くの?」
私 「え~とねぇ、その竿じゃダメなんだよなぁ」
息子 「パパ、ヤマメ釣った事あるの?」
ヤマメを釣った事?
そんなもん、ある訳がない。
だいたい、埼玉のペットショップで
生まれて初めて見たんだし。
と、そんな事も言える訳もなく、
半信半疑な息子を連れて、とにかく釣具屋へ直行。
初心者用の渓流釣りセット
(そんなセットはなかったが)
を二人分購入し、初めての渓流釣りに
期待と不安を抱えたまま帰宅。
「さ~て、どうするかなぁ」
日本一汚い川で銀ブナを釣るのとは訳が違う。
いくら山口でも、その辺の川にヤマメがいる筈も無い。
とにかく、息子には内緒で本屋へ行き、
渓流釣りの本を何冊か購入した。
一冊目、二冊目と読んでいくうちに、
私は渓流釣りをナメテイタ事を深く反省した。
そしてこの先、渓流釣りがとっても危険に溢れた・・・
下手をすると命を懸けた釣りである事を
嫌というほど思い知らされるのだった。
まぁ、何とか生きてますが(笑)
下手をしたら、多分10回くらいは死んでたはずです(-_-;)
インディージョーンズの気持ちがよく分かりましたよ、ハイ!!
僕と息子と釣り針と その2 [序章]
思い返すと、私は息子としか釣りをしていない。
勿論、一人で釣りに行った記憶もない。
と言うか、息子意外の誰ともと釣りをしていない。
それには、深い事情があったのだ・・・
(それほど深くないかも知れないが)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ある日の事。
突然、上司から電話が入った。
「転勤だ。山口に行ってくれるか。」
山口???
何でいきなり山口なんだと思いながら、しかしその時の私は
断るという選択肢を持ち合わせていなかった。
何故なら・・・
その当時の上司は、見た目で言うと「ゴルゴ13」に似た
とっても厳つい顔の、全く堅気には見えないタイプの人だった。
↓本当にこんな感じの上司でしたよ(-_-;)
だから、断る理由なんてみつかるはずも無かった。
何も知らない家族にそれを伝えなければならなかった。
嫁はそれほど反対しないかも知れない。
娘は小さいから反対する術を知らないだろう。
息子は・・・
学校の友達・近所の遊び仲間。
小学校4年でも、それなりの世界が出来ている。
どうやって説得しようか・・・
ん?
ヤマメ!!
確か山口にもいたはずだ。(正確にはヤマメではなくアマゴだったが)
息子に話すと、二つ返事でOKだった。
何故なら、私は苦し紛れに息子とある約束してしまったのだ。
「山口に行ったら、渓流釣りができるぞ!!」
「ヤマメを釣りに行けるんだ。」
「どうだ、山口に行ってみるか」
「毎週日曜日は渓流釣りだ~!!」
男と男の約束だった・・・
珍しく計算通りに進む展開に、いささか不安を感じながらも、
その時は深く考えてはいなかった。
毎週・・・日曜日・・・渓流釣り・・・
酒の力とは恐ろしいもので、何度となく酷い目に合ってきたのに。
また、できない約束をしてしまった。
てな訳で、息子との釣り道中が始まる事となったのだ。
え~っと、前置きが長くて済みません。
なかなか本題に入れなくて・・・
でもですね、この前置きは必要なんですよ。
インディージョーンズだって、いきなり冒険って訳じゃないでしょ?
いやいや、インディージョーンズは最初から最後まで冒険でした(-_-;)
でもねぇ、
冒険の前には、それなりの前振りがなければ・・・
だって、本当に危険な釣行だったんですよ!!
「序章」僕と息子と釣り針と・・・ [序章]
スラリとしたボディーに、怪しく光る虹色のパーマーク。
私たち、つまり私と息子は、
その魚に完全に魅せられてしまった。
・・
どうしても、彼女に逢いたかった。
・・ ・・
そして、そこで彼女に逢わなければいけないと思った。
それは、恋に似た感情だったかも知れない。
それは「一目惚れ」だったのだから。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
海の無い埼玉では、釣りと言えば「ヘラブナ」が主流だ。
だが、それまでの私は全く「ヘラブナ」釣りとは縁が無かったし、
「ヘラブナ」釣りというのは小さい子供との釣りには適していなかった。
私は、よく息子を連れて近所に散歩に出かけた。
少し歩くと、お世辞にも綺麗とは言いがたい、
そしてとっても汚くて臭いどぶ川がいくつも流れていた。
その中でも「綾瀬川」は、当時の汚い川ランキングで、
ダントツのワーストワンだった。
(最近は綺麗になったと、風の噂で聞きましたが・・・)
それでも、土曜の朝八時頃に散歩に出掛けるると、そのワーストワンの
どぶ川のほとりに、釣り人の姿があちらこちらに見えるのだ。
こんな汚い川で釣り?
私と息子は、じっと釣り人たちが獲物を釣り上げる瞬間を待った。
浮きがピクピク動く。
何かが餌に食いついたのか?
次の瞬間、釣り人の手首は返されパシっという音と同時に竿がしなった。
竿の曲がり方から見て、素人の私でも大物がヒットしたのが分かった。
のはずだった。
うんざり顔の釣り人は、獲物の姿を見るまでもなく、「は~、またか・・・」
と言いながら、魚の代わりにぶら下がっている、泥まみれの靴を放り投げた。
日本一汚い川だから。
釣りは難しい。
思うようにはならない。
ある意味、恋愛に似ているかも知れない。
てな事を考えていると、別の釣り人のウキが反応したのが分かった。
今度こそ、と思った瞬間・・・
キラキラと光ったその体。
銀ブナだ!!
決して綺麗とは言えないし、釣り上げる時の引きや駆け引きも
さほどなく、ただ淡々と釣り上げている釣り人。
しかし、息子の目は違っていた。
それが全ての始まりだった。
それから私たち親子は、近くのどぶ川でフナ釣りを始めた。
ところが、これがなかなか釣れない。
どぶ川のフナ釣りなんて子供の遊びくらいに思っていた私は、
なぜ釣れないのか理解できず、完全に頭に血が上ってしまっていた。
それは全く当たり前の事だった。
どぶ川釣りも舟釣りも渓流釣りも、それぞれに釣り方があって、
そのルールを知らなければ釣れる訳はないのだ。
竿に針、適当な餌を付ければ釣れる。
全く、そんな生半可な考えで釣りを始めてしまった。
釣りの常識・・・
その事を知ったのは、随分後の事だったと思うが・・・
ある日、息子と二人で近所のペットショップを訪れた。
特に目的は無かった。
たまたま新聞のチラシに載っていたのと、
ちょっとした好奇心だけだった。
その水槽の前に行くまでは・・・
息子 「パパ!!」
「この魚は何て言う魚?」
私 「ん~、何だろう?、でも綺麗な魚だね」
「淡水魚で、こんなに綺麗な魚がいるなんて、パパも知らなかったよ」
息子 「パパ、この魚釣ってみたい!!」
今まで銀ブナしか釣ったことがないから当然だ。
水槽に貼ってある魚の名前と特徴。
「大陸バラタナゴ」
-淡水魚。綺麗な虹色の模様が特徴。-
初めて見る名前だった。
川魚にこんなにも綺麗な魚がいたなんて。
ところがその水槽の隣に、もっと心を揺さぶられる魚が待っていた・・・
「ヤマメ」
渓流の女王と説明が書いてある。
確かに、女王にふさわしい何とも言えない美しさがそこにあった。
虹色に光る怪しい模様。しかし「大陸バラタナゴ」とは確かに違う。
説明文にはこう書いてあった。
「特徴は体の側面にあるパーマーク」
何?パーマーク?
pinterestより
それから、私と息子の釣り日誌が始まったのだ。
渓流釣りがこんなに危険な釣りだとは・・・!!