僕と息子と釣り針と4 準備編 [山口編]
渓流釣りの解禁日は漁協によっても違うが、
山口県では概ね3月1日~8月31日となっている。
釣り場に入る前には、必ず遊漁券を購入しなければ釣りは出来ない。
と、渓流釣りの入門書に書いてあった。
息子には内緒で、とにかく本を読みあさった。
仕掛けは?
餌は?
ポイントは?
必要な道具は?
道具や餌は近くの「かめや釣具店」で調達できる。
勿論、遊漁券もだ。
問題は、どこで釣れば良いかっていう
肝心要な事を知らなかったのだ。
本で調べると、確かに渓流釣りの出来る川やポイントは書いてある。
がしかし、これから渓流に挑戦しようとしている、全く素人の
オッサンと小学4年の子供はどの川で始めればいいのか?
山口での知り合いは会社の同僚くらいだったが、悲しい事に
釣りを趣味にしている奴は一人もいなかった。
もし居たとしても、殆どが海釣りだった。
なぜ?
答えは簡単だった。
目の前が海だからだ。
すぐ目の前に海があって、そこにはアジやキスやサヨリの釣り場が
あちこちにあるし、アジやキスやサヨリを釣るのはとっても簡単だった。
勿論、その簡単なお手頃な釣りも試してみた。
それはそれなりに面白かったが、アジやキスやサヨリを釣りながら
私と息子は全く違う事を考えていた。
「ヤマメ」に逢わなければ!!
息子にしてみたら、埼玉の友達との楽しい時間を犠牲にして
「山口」ではなく「ヤマメ」との出逢いを選んだのだ。
多分、息子の頭の中には山口だろうが青森だろうが
場所の問題ではなかったのだ。
埼玉のペットショップで出逢った「ヤマメ」
怪しく光るパーマーク。
あれは、息子の初恋だったのかも知れない。
話は変わるが、私の息子は女の子に人気があった。
いつも、3~4人の女の子と遊んでいた。
いわゆる、もて男だった。
なのに、特定の女の子とは付き合わず皆と仲良くしていた。
親の私が羨ましく思えるくらい、彼は最高の幼少期を送っていた。
と思っていた。
ところがだ・・・
あのペットショップでの出逢いから、彼は一日も彼女を忘れなかった。
確かに綺麗な魚だった。
同類の「イワナ」はちょっと地味だし。
ニジマスという手もあったが、もう手遅れだった。
pinterestより
そろそろ実践に移るかと思いカレンダーを見ると
9月の半ばだという事に気が付いた。
まさか・・・
禁漁期間に入った?
ってことは、あと半年は渓流釣りが出来ない?
逆に考えれば、半年勉強すれば基本的な知識は身に着けられる。
と思ったのは私だけだった。
小学4年の息子にとっての半年間とは、おそらくとてつもない長い時間だったろう。
10月、11月、12月・・・
「かめや釣具店」で買った情報誌は、原形を留めないくらいクチャクチャになっていた。
その頃の私たち親子は、知識だけは誰にも負けないくらい勉強していた。
そして、その日はやって来たのだ!!
いよいよ始まりますよ~
危険ですよ~
怖いですよ~
それでは、またお会いしましょう。
さいなら、さいなら、さいなら~!!