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僕と息子と釣り針と19 臨場編9 [趣味・渓流釣り・海釣り]

-後悔先に立たず- 


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


小鳥たちの囀りが聞こえた。

彼らは、これから始まる闘いを特等席で見物しようと

一番見晴らしのいい木の枝に集まっていた。


目の前を「気持ちの悪い模様」のヘビが横切った。


木の枝に覆われた大きな石の陰から

4.5mの竿の穂先が見えた。

こっちに来ちゃダメだ!!


私  「こっちに来るな!!」

息子 「・・・」

私  「スズメバチの大群が居るんだ!!」

息子 「・・・」

息子の足が止まった。

4.5mの竿は三分の一ほど頭を出したまま、止まって震えていた。


息子はハチが大嫌いだった。

納豆もトマトもキュウリも嫌いだった。

だから「みなしごハッチ」の絵本は買わなかった。


私はヤツらの要塞を睨み付けたまま、どんな技で対抗しようか考えた。

私には必殺技はなかった。

特等席で見物している小鳥たちがうるさかった。

んっ!!

私は腰を屈め足元にあった小石をいくつか握った。

そして、のんきに見物していた小鳥たちをめがけて小石を投げつけた。

小鳥たちはギャーギャ文句を言いながら特等席から飛び立っていった。

一瞬、ヤツらの注意が逸れたのが分かった。


私  「今だ、早く逃げろ!!」

息子 「・・・」

私  「逃げろっつってんだろ~!!」

息子 「わかった!!」

4.5mの竿はくるりと向きを変えて、息子と一緒に遠ざかって行った。


私はヤツらの要塞を睨んだまま

得意技のムーンウォークでその場から遠ざかった。

誰も追っては来なかった。

息子も私も助かったのだ。


川下から道路に出た私は、足が震えているのに気が付いた。

足だけではなかった、全身が震えていた。

ヤツらの顔が頭から離れなかった。

牙を剥き出して目を見開き、私をロックオンしている顔が・・・


息子の無事な姿を確認した瞬間

体中の力が抜けてしまった。

息子 「大丈夫だった?」

私  「何とか生きてるよ!!」

息子 「やったね!!」

私  「バッキャ-ロ-、死ぬかと思ったぜ!!」

渓流釣り場01.jpg

家に帰ったら、息子にも必殺技を教えようと思った。

命を救ってくれた得意技のムーンウォークを・・・

 多分、二度と使う事は無いと思うが・・・

 



 

 インディージョーンズに生まれなくて本当に良かった!!


今夜は、サキイカと辛口一献で決まりだ~(笑)


BGMは渡辺貞夫の「マイ・ディアー・ライフ」にしよう!!

 

それでは、またお会いしましょう。

さいなら、さいなら、さいなら~!! 

 


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