それは木谷渓谷の滝に違いなかった。



◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


家に向かう車の中で、親子は何も喋らなかった。

ダイアーストレイツの「ブラザー・イン・アームス」が流れていた。

とても悲しい曲だった。


家に帰ると、嫁の尋問がまっていた。

嫁  「って事はなにかイ、大物を釣ったのに逃げられたって事かい?」

私  「・・・」

嫁  「黙ってたんじゃ分かんねえんだよ-!!」

私  「・・・」

嫁  「強情なヤツだねぇ!酒でも飲んで思い出してもらおうじゃねぇか!!」

思い出したくなかった。

もう少しで死ぬところだったのだ。



尋問が終わると、今度は息子との反省会が待っていた。

息子 「ヤツは主(ぬし)だったと思う?」

私  「多分な・・・」

息子 「釣っちゃ-いけなかったの?」

私  「多分な・・・」

息子 「渓流はやめた方が良いのかなぁ?」

私  「多分な・・・」

んっ?やめちゃダメだろ-!!



で、反省会は作戦会議に変更。

嫁  「ったく、懲りねぇ奴らだぜ!!」

私  「俺たちB型だからね!!」

息子 「だよね-」



その夜は、まったく酔えなかった。

いや、酔い過ぎて意識が無かった。

とにかく、いやな事は早く忘れなきゃ!!

だって、僕たち親子には次の冒険が待ってるんだから(笑)

 

それでは、またお会いしましょ。 

さいなら、さいなら、さいなら~!!